賃金構造基本調査、毎月勤労統計、家計調査、消費者物価調査などの官庁統計は労働組合にとっても基礎データとして重要です。その活用のためには、調査対象、集計方法など各調査の特性や制約を正確に把握しておく必要があります。今回の講義では、この点にしぼってじっくりお話ししていただきました。講師は、1992年に総務庁統計局に入局、2002年より東京大学社会科学研究所へ出向中です。
賃金分析は組合調査部の基本的作業です。それに必要な統計学の基礎知識を学びます。労調協が分析作業を進めてきた各種調査の経験をもとに、用語の解説から賃金分析の手法まで、実例を示しながら、わかりやすくお話ししました。
アンケート調査では、質問文や選択肢の構成、質問の並べ方などによって回答結果にさまざまなバイアスが生じます。また、同じ質問文でも回答者によって受け止め方は異なってきます。このようにアンケート票を作成する上で注意しなければならないことなどを、豊富な世論調査経験をもとに、お話しいだきました。
ご承知のように、山田昌弘さんは、ベストセラー「パラサイトシングルの時代」で社会の閉塞状況を鋭くえぐり出しました。そこに描かれた若年層が次の時代の組合を担うことになることを考えると私たちもそのことに無関心ではいられません。改めて、20代から30代前半の若年労働者像とそれによって形作られる社会の抱える課題や解決の方向性を語っていただきました。